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築30年を超える戸建てを、間取り変更から屋根・外壁の塗装、設備・サッシの入れ替えまで、丸ごとリノベーションしました。

資材と人件費が上がり、リノベーションの費用は年々高くなっています。断熱・窓・外壁と屋根・設備まで丸ごと手を入れる戸建てのフルリノベーションは、今は延床1㎡あたり16万〜25万円程度(坪50万〜80万円程度)かかることが多くなっています。耐震補強や土台・柱の補修が必要になると、さらに上がります。内装中心の工事なら下がります。それでも、進め方しだいで費用は抑えられます。実際の工事で分かったコツをまとめました。

今の目安 延床1㎡あたり16万〜25万円戸建てを断熱・窓・外壁と屋根・設備まで丸ごと。耐震補強・外構は別
この家の実例 延床1㎡あたり18万円弱外構を除く。断熱・窓・外壁と屋根・設備まで丸ごと
この家で使った補助金約300万円国と東京都の3つ。窓と断熱が対象

01何をしたか

見た目の仕上げより先に、壁や床を開けたときにしか手を入れられない断熱と、建物を長持ちさせる外壁・屋根に予算を配分しました。

部位内容
断熱各部屋の断熱材を「次世代省エネ基準」相当に入れ替え。1階の床は床下から断熱材を取り付け
窓ほぼすべての窓に内窓(LIXIL インプラス・複層ガラス)。一部はサッシごと樹脂複合サッシ(LIXIL サーモスL など)に交換
玄関断熱仕様の玄関ドア(LIXIL リシェント)に交換
外壁・屋根外壁は汚れが付きにくいセラミック系の塗料(エスケー化研 セラミクリーン)、屋根はシリコン系の屋根用塗料(同 ヤネフレッシュSi)。軒天・破風も塗装
床暖房温水式の床暖房(ノーリツ)をLDKなどに新設
設備キッチン・浴室まわり・洗面・トイレ・給湯器を入れ替え。設備は10年保証つき
間取り建物の構造の許容範囲内で、壁を動かして部屋のつながりを変更
床・壁・天井をはがし、骨組みだけになった室内
01 床・壁・天井をはがした状態
骨組みが見えている間に入れる新しい断熱材
02 壁をあけている間に断熱材を入れる
床を張り替えた部屋(引き渡し前)
03 床を張り替えた部屋(引き渡し前)

02大手ハウスメーカー系だから高い、とは限らない

工事費は大手も含めて上がっています。ただし、「大手は割高」とは限りません。地元の工務店のほうが安くなる工事もあり、どちらが有利かは建物と工事の内容によります。だからこそ、相見積もりで比べることが大切です。

1同じ条件で比べる

複数の会社から見積もりを取り、プラン・仕様・金額を比べます。断熱や窓などの条件をそろえて再見積もりを依頼すると、同じ条件で比較できます。

2提携の設備メーカーの品を使う

ハウスメーカー向けの専用品や一括で仕入れる製品には、品質の割に価格を抑えられるものがあります。仕様を落とさずに費用を下げられます。

3保証と窓口も比べる

大手では、設備の10年保証がつき、工事後の点検や修理の窓口が一本化されていることが多くあります。金額とあわせて比べます。

4補助金に合わせて仕様を決める

窓・断熱は国と東京都の補助金の対象になるものが多くあります。対象は登録された製品に限られるため、契約前に仕様を確定させます。

03使った補助金

補助金対象金額
国 先進的窓リノベ内窓・玄関ドア約110万円
国 子育てエコホーム省エネ改修約20万円
東京都 既存住宅の省エネ断熱改修断熱材の入れ替え・床下の断熱約160万円
合計約300万円

国と東京都で対象の工事が重なる場合は、受給額の合計が最も多くなる組み合わせを施工会社が試算しました。東京都の補助金は工事中の写真と書類を漏れなく提出する必要があり、承認は引き渡しから約7か月半後でした。制度と金額は年度ごとに変わります。

04間取り変更は「骨組みに触れるか」で費用が変わる

間取り変更の費用は、どこを動かすかで大きく変わります。この違いを押さえておくと、費用を抑えながら住み心地を改善できます。

費用が大きくなる変更比較的安く抑えられる変更
建物を支える壁・柱・梁を抜く、動かす支えていない間仕切りの壁を動かす・なくす
キッチン・浴室・トイレの位置を大きく動かす(配管・排水の勾配)水まわりは今の位置のまま、設備だけ入れ替える
階段の位置を変える、床に吹き抜けをあける建具・収納・造作で部屋の使い方を変える
外壁をあけてサッシの大きさを変える内窓を足す・同じ大きさの窓に入れ替える

どの壁が建物を支えているかは、工法(在来工法・2×4など)と図面で決まります。プランを考える前に、施工会社に「抜ける壁」と「抜けない壁」を図面で示してもらうのが近道です。

052025年4月から、大規模なリフォームには建築確認が必要

2025年4月の建築基準法の改正で、木造2階建ての住宅でも、壁・柱・床・梁・屋根・階段のどれかについて半分を超える修繕や模様替えをするときは、建築確認が必要になりました。骨組みに手を入れる間取り変更や、屋根の葺き替えを含むフルリノベーションは、対象になることがあります。

対象になると
  • 費用と工期が増える:図面や申請の費用がかかり、確認が下りるまで工事を始められません。
  • 今の基準に合わせる工事が出ることがある:古い家で図面や検査済証がないと、調べ直しや追加の工事が必要になる場合があります。
  • 再建築不可の家は特に注意:道路に接していない家などは確認が通らず、できる工事が限られます。

内装の張り替えや設備の入れ替え、外壁・屋根の塗装だけなら、通常は対象になりません。どこまでが対象になるかは、プランの段階で施工会社に確認します。

06工事費のほかにかかるもの

買ってからフルリノベーションする場合は、工事が終わるまで住めません。その間も、今の住まいの家賃や、買った家のローンの返済は続きます。エアコン・カーテン・家具の買い替えも、工事費とは別です。工期とあわせて、あらかじめ資金計画に入れておきます。

07自分でやるより、出来上がったものを買う選択肢

費用が上がっているのは、マンションも同じです。中古マンションのフルリノベーションも、今は1㎡あたり13万〜20万円ほど、こだわった注文なら20万円台半ばかかります。70㎡なら1,000万円を超えることが多くなっています。

自分でフルリノベーションするリノベーション済みを買う
費用今の工事費がそのままかかるリノベーションした会社の仕入れ値・設備の調達力で、自分でやるより安く済んでいる場合がある
時間と手間会社選び・相見積もり・プラン・申請・工事で数か月。その間は住めない完成した部屋を見て決められる。引き渡し後すぐに住める
保証と安心工事した部分は施工会社の保証。建物そのものは、個人の売主から買うと保証がない・短いことが多い売主が不動産会社なら、引き渡しから2年以上の保証が法律で決まっている(宅地建物取引業法)。設備・内装のアフターサービスや既存住宅売買瑕疵保険がつく物件もある
自由さ間取りも仕様も自分で決められる間取りと仕様は選べない

リノベーション済みの物件は、内装の仕上がりだけでなく、配管・配線・断熱がどこまで更新されているかを確認します。

まとめ

築30年を超えても、選択肢は十分にある

マンションであれ戸建てであれ、躯体がしっかりしているものであれば、築30年以上の家でも十分に住めます。特に戸建ての場合は躯体の状態が重要ですが、しっかりフルリノベーションを行えば、新品に近い満足感を得ることも可能です。もちろん、そのための準備や時間、下調べ、労力は伴いますが、リノベーションという選択肢は十分にあります。

とはいえ、すでにリノベーション済みの物件のなかにもお買い得なものがあります。どういったものがお得になるのかというと、やはりリノベーションを行った会社の仕入れ単価や設備の調達力による部分が大きいです。そのため、自分でやるよりも安く済んでいる場合が十分にあります。

立地なども含めてお得に物件を購入したい人にとっては、そういったリノベーション済み物件を一つひとつ見ていくのも一つの選択肢になってくると思います。効率よく探していくことで、そうしたお得な物件を見つけられることもあります。

よくあるご質問

大手ハウスメーカー系のリフォームは高いですか?

高いとは限りません。相見積もりで同じ条件の見積もりを比べ、提携の設備メーカーの品や補助金をうまく使うと、費用を抑えられます。保証や工事後の窓口も合わせて比べます。

戸建てのフルリノベーションはいくらかかりますか?

断熱・窓・外壁と屋根・設備まで丸ごと手を入れる場合、今は延床1㎡あたり16万〜25万円程度(坪50万〜80万円程度)かかることが多くなっています。耐震補強や外構は別です。内装中心なら下がります。

間取り変更の費用を抑えるには?

建物を支える壁・柱・梁と、水まわりの位置を動かさないことが基本です。支えていない間仕切りや建具・収納の工夫なら、比較的安く抑えられます。

築30年を超える家でも住めますか?

躯体がしっかりしていれば、マンションでも戸建てでも十分に住めます。戸建ては躯体の状態が特に重要です。フルリノベーションで新品に近い満足感を得ることも可能です。

本稿は一般的な情報であり、個々の物件の価格の評価や、法務・税務・投資の助言ではありません。

青木健一
RE/MAX INTERFACE 不動産エージェント